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3. 生成 AI で失敗しないために

3.1 ソフトウェアエンジニアリングと生成 AI

  • 生成 AI の技術が一般的な業務にも徐々に広まっている。
  • 多くのソフトウェアエンジニアが、GitHub Copilot(ギットハブ・コパイロット)や ChatGPT(チャットジーピーティー)などの生成 AI を、プログラミングにおいて非常に有効なツールと考えている。

3.2 現在の生成 AI の得意なことと苦手なこと

  • 現在の生成 AI の基本原理は、入力された文字列に基づいて次の言葉を確率的に予測することである。
  • 2024 年時点の無料モデルは正誤の検証機能が弱く、用途によっては役に立たないことがある。
課題の種類 生成 AI の能力
① 創造的で正解のない問題(アイデア出しなど) 月面基地で営業すると流行りそうなレストランとその理由を書いて。 創造的なアイデアを提供する能力は高いものの、完全に新しいコンセプトを生み出す点では限界がある。
② 一般的な知識や常識を答える問題 東京と大阪の文化の違いは? 一般的な知識に基づく回答は得意だが、情報の正確性はデータソースに依存する。最新の情報や専門的な知識には注意が必要。
③ 解くのに思考が必要で、正誤がはっきりする問題 アジアの国で日本語で書くと 3 文字の国は? 単純なクイズ形式の質問には答えられることが多いが、複雑な論理的思考や多段階の推論が必要な問題は苦手。

使っている AI の実力を試そう

  • 以下の問題を AI に解かせて、AI の実力を試してみよう。
    山手線の駅を北から南へ、緯度が高い順に並べて。
    

3.3 AI で自分を高めるために

  • 自身があまりにも知らない分野だと、生成 AI の答えを自分で検証できず、AI の力を仕事や人生の役に立てることができない。
  • 英語をある程度勉強していれば、自分のメールや論文を自動翻訳に任せ、結果をチェックし、必要に応じて修正できる。
  • 一方、全く知らないアラビア語へ自動翻訳した結果を取引先に送ることはできるか?

3.4 AI 時代の戦略

  • AI に負けない専門性を持つのが第一だが、プログラミングを含むいろいろなジャンルに適切に入門しておくことも戦略としてある程度有効。
  • 基本的な概念や用語を理解していれば、AI との協働がスムーズになる。

3.5 本講義の課題の設計方針

  • 本講義では、生成 AI で解くと間違えたり、解くことが難しい課題も出題することがある。
  • AI への指示に四苦八苦するよりも、講義内容を理解して自分で書いたり、AI には部分的に手伝ってもらうだけのほうが時間対効果が良くなることを目指している。

3.6 課題での利用で失敗する例

  • 完璧でなくても、自力で書いたコードを提出しよう。方向性があっていれば部分点を獲得できる。
  • 生成 AI は、講義内容を反映しない見当はずれな答えを出すことがある。それを提出すると、「講義内容を理解していない」と判断され部分点をもらえないことがある。

3.7 おすすめの生成 AI

  • ここまで述べた注意を理解したうえで、生成 AI を使用して課題に取り組むことができる。
  • 以下に挙げるような、比較的性能の高い AI を使用することを推奨する。
  • OpenAI(オープンエーアイ)社が提供する ChatGPT
    • とくに有料版で利用できる ChatGPT o1
  • Anthropic(アンソロピック)社が提供する Claude(クロード)